しかし「軽微な建設工事」でも他の法規制によって会社の登録が必要だったり現場監督(施工管理)に必要な資格があるので注意が必要です。
こちらの記事を読むことで「建設業許可の不要な軽微な建設工事とはどんな工事なのか?」「建設業法以外で法令上の制限を受ける軽微な建設工事の業種とは?」「その時に配置される現場監督(施工管理)に必要な資格は何か?」などがわかるようになります。
Contents
建設業法上定められた軽微な建設工事とは?
軽微な建設工事とは?建築工事業とその他28業種の工事業!
(建設業法第3条第1項ただし書の軽微な建設工事)工事一件の請負代金の額【消費税を含む】
※消費税込1500万円に満たない建築一式工事【建築工事業】
※延べ面積が150㎡に満たない木造住宅の建築一式工事【建築工事業】
※建築一式工事【建築工事業】以外の28種の建設工事にあっては消費税込500万円に満たない工事
軽微な建設工事のうち延べ面積150㎡に満たない木造住宅の市場とは!
150㎡を坪数に換算すると約45坪になります。
(150㎡×0.3025=約45坪)
畳2枚で1坪とみるので約45坪は約90畳になります。
もし1階と2階が同じ面積の総二階建の住宅を想定すると1階も2階も45畳づつの広さになります。
では1階のリビングダイニングキッチン(LDK)を20畳の部屋にしましょう。
まだ残り25畳あるので例えば「居室8畳、玄関ホール4畳、お風呂2畳、洗面室+洗濯室で2畳、トイレ1畳、階段スペース(4畳分もあれば十分ですね。)」としてもこれで21畳なのでまだ残り4畳分余りがありますので収納場所にしましょう。
2階に8畳分の居室4部屋で32畳、残り13畳で階段室や2階トイレ洗面室が余裕でとれます。
こうしてみると延べ面積150㎡未満の木造住宅が軽微な建設工事になるといっても日本中の大多数の木造住宅が含まれそうですね!
既存木造住宅はほとんどが軽微な建設工事!150㎡未満の木造住宅に特化して施工する業者は建設業許可不要!
平成30年の国土交通省「住宅着工統計」によると総戸約95万戸のうち木造住宅は約54万戸でした。
同じ平成30年の持家の一戸当たり平均床面積は119.7㎡でした。出典:国土交通省「住宅着工統計」
持家の平均床面積が119.7㎡ですので木造住宅54万戸のうちほとんどの木造住宅が150㎡未満の面積であることが国の統計からもわかります。
軽微な建設工事は建設業許可が不要なので独立起業しやすい分野
150㎡未満の木造住宅や税込1500万円未満の建築一式工事の分野
税込500万未満の専門工事の分野
軽微な建設工事でも現場監督(施工管理)をする方に資格が必要な業種とは?
解体工事、浄化槽工事、電気工事、消防施設工事の4種の工事については、それぞれ「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」「浄化槽法」「電気工事業の業務の適正化に関する法律」「消防法」の各法令で都道府県知事への登録や現場監督(施工管理)に必要な資格があります。
軽微な建設工事の解体工事の業者登録や現場監督(施工管理)の資格!
500万円未満の解体工事業を営む者は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)により都道府県知事の登録が必要になります。
土木工事業、建築工事業または解体工事業について建設業許可を受けている場合は、知事登録は必要ありません。
出典「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」第21条
環境省「建設リサイクル法の概要」はこちら
解体工事業者登録に必要な資格を持った技術管理者の選任
解体工事業者登録をするためには技術管理者の選任が必要になります。
選任の技術管理者は、解体工事の施工において、分別解体、機械操作、安全管理や建設資材の再資源化の実施等に関する指導・監督を行う者の事で次のいずれかの資格が必要になります。
■建設業法による技術検定 :1級建設機械施工技士、2級建設機械施工技士(「第1種」・「第2種」)、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(「建築」・「躯体」)
■建築士法による建築士: 1級建築士、2級建築士
■技術士法による第2次試験: 技術士(建設部門)
■職業能力開発促進法による技能検定: 1級のとび・とび工、
2級のとびに合格後、解体工事に関して1年以上の実務経験を有する者、2級のとび工に合格後、解体工事に関して1年以上の実務経験を有する者■国土交通大臣の登録を受けた試験(省令改正以前の、国土交通大臣が指定する試験に合格した者も対象になります。): 登録試験の合格者
■次のいずれかの解体工事に関する実務経験を有する者
●大学(短大を含む)又は高等専門学校において土木工学等に関する学科を修了した者は、実務経験2年以上、そのうち国土交通大臣が実施した講習又は登録講習を受講した者は1年以上
●高等学校又は中等教育学校において土木工学等に関する学科を修了した者は実務経験4年以上 、そのうち国土交通大臣が実施した講習又は登録講習を受講した者は3年以上
●上記以外の者は実務経験8年以上、 そのうち国土交通大臣が実施した講習又は登録講習を受講した者は7年以上
出典 「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)第31条、解体工事業に係る登録等に関する省令(国土交通省令)第7条
軽微な建設工事の浄化槽工事の業者登録や現場監督施工管理の資格!
浄化槽工事を行う場合は「浄化槽法」による浄化槽工事業を営む者として、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録が必要になります。
土木工事業、建築工事業または解体工事業について建設業許可を受けている場合は、知事登録は必要ありませんが、特例浄化槽工事業の届出が必要になります。
出典「浄化槽法」第21条、第33条※浄化槽工事業者登録に必要な資格者の設置
浄化槽工事業者登録に必要な資格者の設置とは:浄化槽工事業者登録をするためには営業所ごとに浄化槽設備士が設置されていなければなりません。出典「浄化槽法第29条」「浄化槽法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定 令和5年1月31日
軽微な建設工事の電気工事の業者登録や現場監督施工管理の資格!
電気工事業者とは、①一般用電気工作物及び②500kW未満の自家用電気工作物の電気工事を行う次の4通りに分類されます。
1.登録電気工事業者:建設業許可を受けていない電気工事業者の事で、登録申請の手続きが必要です。
2.みなし登録電気工事業者:建設業許可を受けている電気工事業者の場合、別途電気工事業開始の届出が必要です。
3.通知電気工事業者:自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者の事で、電気工事業開始通知書の提出が必要です。
4.みなし通知電気工事業者:建設業許可を受けており、自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者の場合、電気工事業開始通知書の提出が必要です。
電気工事業者登録に必要な資格者の設置について
1.登録電気工事業者:営業所ごとに専任の主任電気工事士が必要です。主任電気工事士には、第一種電気工事士資格者か、第二種電気工事士の免状交付後、3年以上電気工事の実務経験のある第二種電気工事士資格者がなることができます。
2.みなし登録電気工事業者:1登録電気工事業者と同じ
3.通知電気工事業者:第一種電気工事士免状取得又は認定電気工事従事者認定証を受けている工事責任者の設置が必要です。
4.みなし通知電気工事業者:3通知電気工事業者と同じ
軽微な建設工事の消防施設工事の業者登録や現場監督施工管理の資格!
消防施設工事とは、火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事の事を言います。
消防施設工事に必要な資格者の設置
そのため、消防施設工事の場合、建設業許可を必要としない500万円以下の軽微な工事の場合でも『甲種消防設備士』の資格者でなければ工事を行うことはできません。
消防設備士の資格には、甲種と乙種の2種類があります。
甲種は1類~5類・特類まで、乙種は1類~7類まであり、区分によって取り扱うことができる設備が異なります。
甲種で取り扱える設備
- 第1類 :屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備
- 第2類 :泡消火設備
- 第3類 :不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備
- 第4類 :自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備
- 第5類 :金属製避難はしご・救助袋・緩降機
- 特類 :特殊消防用設備など
乙種で取り扱える設備
- 第1類 :屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備
- 第2類 :泡消火設備
- 第3類 :不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備
- 第4類 :自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備
- 第5類 :金属製避難はしご・救助袋、・緩降機
- 第6類 :消火器
- 第7類 :漏電火災警報器
甲種消防設備士は区分に応じて工事と整備・点検を行うことができ、乙種消防設備士は整備・点検のみを行うことができます。
工事は甲種消防設備士だけに認められています。
(出典:消防法第17条の5)
軽微な建設工事以外に建設業許可不要の建設工事とは
請負工事契約に該当しない建設工事
【具体的な工事の例】として以下のものが挙げられます。
※自らが使用するための建設工作物を自ら施工する工事。
※不動産業者が建売住宅を自ら施工する工事。
※官公庁が他の官公庁から委託を受けて施工をする工事
建設工事に該当しない工事
【具体的な工事の例】として以下のものが挙げられます。
※草刈り
※道路清掃
※除雪
※測量や調査
※建設機械や土砂などの運搬
※船舶や航空機など土地に定着しない工作物の建造
※建設資材の納入
※工事現場の養生
※機械・器具の保守点検
※樹木剪定
※水路・河川の清掃
※建築資材の販売で工事を行わないもの
※建設機械リース(オペレーターが付かないもの)
※建設現場への警備員の派遣
まとめ!建設業許可業者には軽微な建設工事でも主任技術者の配置義務があります!
最後までお読みいただき有難うございました。
こちらの記事では
- 「建設業許可の不要な軽微な建設工事とはどんな工事なのか?」
- 「建設業法以外で法令上の制限を受ける軽微な建設工事の業種とは?」
- 「その場合の現場監督(施工管理)に必要な資格は何か?」
などについて説明いたしました。
最後に重要な事を一つ押さえておきましょう。
「建設業許可を取得している建設業者が、軽微な建設工事の対象となる規模の工事を請け負う場合には必ず一定の資格者である主任技術者を配置しなければなりません。」
主任技術者になるための資格や経験の条件につきましては別の記事で紹介しますね。
この記事が少しでも建設業に興味を持つあなたの将来に参考になれば幸いです。