特定建設業許可と一般建設業許可

建設業許可3要素とは?! ※29種の業種許可!※特定か一般!※大臣か知事!

将来は建築一式工事元請の地場ゼネコンの現場監督として地元の街づくりに貢献したいです。そのために建設業許可制度の大まかな仕組みについて知っておきたいです。
現場監督は現場のリーダーとして現場を回していきます。こちらの記事では建設業許可の3つの柱について説明していきます。この記事を読むことで現場のリーダーになる人材として建設業許可制度についての理解が深まります。

Contents

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建設業許可の3つの要素!1業種!2特定か一般!3大臣か知事!

建設業許可は3つの要素で成立しています。

一つ目は業種の許可

二つ目は特定建設業許可か一般建設業許可

そして三つ目は大臣許可か知事許可

詳しくみていきましょう!

出典:国土交通省サイト:「ホーム>政策・仕事>土地・建設産業>建設産業・不動産業>建設業>建設業の許可>建設業の許可とは」、他より

土木工事業と建築工事業!建設業許可業種のうち一式工事許可は2種!

まずは建設業許可のうち業種の許可について知りたいです。業種はいくつあって、どんな業種があるのでしょうか?
許可業種は全部で29業種あります。2種の一式工事の許可と27種の専門工事の許可です。はじめに2種の一式工事の許可業種について説明します。

2種の一式工事の許可業種とは土木工事業と建築工事業!

まずは2種の一式工事許可業種である土木工事業と建築工事業について知りたいです。将来は建築工事業の現場監督(施工管理)を目指しています!

一式工事とは総合的な企画、指導、調整を行う総合工事業のことです。

 建設業許可業種における一式工事許可の2業種というのは土木工事業と建築工事業です。

 この2業種の許可業者だけが事業主【発注者、施主】と土木工事や建築工事の一式工事の元請として請負契約が許されています。

 「建築工事業許可があればどんな工事でもできる」という解釈をする方がいらっしゃいますがそれはよくある誤解です。

 2種の一式工事業許可だけでは残りの27種の専門工事はできないので建設会社によっては一式工事許可と必要な専門工事許可を取得している企業が多いです。

 

土木一式工事と建築一式工事の具体例とは?

土木一式工事と建築一式工事について工事の具体例など教えてください。

総合的な企画、指導、調製のもとに土木工作物を建設する工事が土木一式工事で、建築物を建設する工事が建築一式工事です。

以下は土木一式工事と建築一式工事の具体的な工事名です。

 土木一式工事

河川水利、港湾施設、埋立・干拓、鉄道、橋梁、隧道(トンネル)、上・下水道、道路、飛行場、運動競技場、宅地造成など

 建築一式工事

住宅、共同住宅、事務所、店舗、工場・発電所、倉庫・流通施設、教育・研究・文化施設、医療・福祉施設、宿泊施設、娯楽施設など

 

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建設業許可業種のうち専門工事の建設業許可27業種とは?

専門工事の建設業許可27種類について具体的にどんな工事があるのか教えてください。

専門工事業の許可は専門工事の元請工事と一式工事の下請工事を行うことのできる建設業許可です。

それでは27業種それぞれの工事の内容や具体的な工事名を挙げていきますね。

  1. 出典:建設工事の内容 昭和47年3月8日建設省告示第350号最終改正平成29年11月10日国土交通省告示第1022号より

  2. 出典:建設工事の例示【具体的な工事名】 平成13年4月3日国総建第97号「建設業許可事務ガイドライン」最終改正令和2年12月25日国不建第311号より

大工工事業

  1. 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事
  2. 大工工事、型枠工事、造作工事

左官工事業

  1. 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事
  2. 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工

とび・土工・コンクリート工事業

とび・土工・コンクリート工事業は範囲が広く5グループで説明します。

【1】とび工事等

  1. 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
  2. とび工事 、ひき工事 、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事

【2】くい工事等

  1. くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
  2. くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事

【3】土工事等

  1. 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
  2. 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事

【4】コンクリート工事等

  1. コンクリートにより工作物を築造する工事
  2. コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事

【5】その他基礎的ないしは準備的工事

  1. その他基礎的ないしは準備的工事
  2. 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

石工事業

  1. 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び 擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事
  2. 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事

屋根工事業

  1. 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事
  2. 屋根ふき工事

電気工事業

  1. 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事
  2. 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

管工事業

  1. 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
  2. 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事

タイル・れんが・ブロック工事業

  1. れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事
  2. コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事

鋼構造物工事業

  1. 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事
  2. 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事

鉄筋工事業

  1. 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事
  2. 鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事

舗装工事業

  1. 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事
  2. アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、 ブロック舗装工事、路盤築造工事

しゅんせつ工事業

  1. 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事【浚渫(しゅんせつ)とは、港湾・河川・運河などの底面を浚(さら)って土砂などを取り去ること】
  2. しゅんせつ工事

板金工事業

  1. 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事
  2. 板金加工取付け工事、建築板金工事

ガラス工事業

  1. 工作物にガラスを加工して取付ける工事
  2. ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事

塗装工事業

  1. 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事
  2. 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事

防水工事業

  1. アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事
  2. アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事

内装仕上工事業

  1. 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
  2. インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事

機械器具設置工事業

  1. 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事
  2. プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事

熱絶縁工事業

  1. 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事
  2. 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事

電気通信工事業

  1. 有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事
  2. 有線電気通信設備工事、無線電気通信設置工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事

造園工事業

  1. 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事
  2. 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事

さく井工事業

  1. さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備 設置等を行う工事【さく井(さくせい)とは井戸を掘ること】
  2. さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事

建具工事業

  1. 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事
  2. 金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事

水道施設工事業

  1. 上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理施設を設置する工事
  2. 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事

消防施設工事業

  1. 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事
  2. 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事

清掃施設工事業

  1. し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事
  2. ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

解体工事業

  1. 工作物の解体を行う工事
  2. 工作物解体工事

以上が建設業許可の許可業種となります。

次はこれらの業種毎に取得しなければならない特定建設業許可か一般建設業許可の区分について説明いたします。
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建設業許可の条件!特定建設業許可か一般建設業許可とは?

特定建設業と一般建設業の許可の区分について教えてください。

特定建設業許可とは下請契約合計額に制限が無い建設業許可の区分です。

一般建設業許可とは下請契約合計額に制限のある建設業許可の区分です。

特定建設業の工事1件当たり下請契約合計額の基準とは?

特定建設業許可と一般建設業許可の違いについて教えてください。また何のために特定建設業許可と一般建設業許可という区分があるのでしょうか?

特定建設業許可には下請契約額の制限が無いのでどんな規模の工事も取り組めます。

一方、一般建設業許可は下請契約額の上限があり、それ以上の工事は契約できません。違反すると懲役や罰金付きの厳しいルールになっています。

具体的な金額は次の通りです。

  発注者【施主】から元請として直接請け負った建設工事を施工するために

 下請業者との請負契約額の合計が4500万円(建築一式工事の元請の場合には7000万円)以上となる場合に、

 その建設会社は特定建設業許可でなければ工事を契約できません。(建設業法第26条)

 これに違反することは重大な違反行為とされ3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)となります。

このように建設業法では工事1件当たりの下請発注合計金額によって特定建設業許可と一般建設業許可という許可基準をたいへん厳しい罰則付きで設けています。

その理由は特定建設業許可の設置目的が発注者や下請業者を保護することにあるからで、大規模な工事になるほど元請会社が工事の途中で倒産すれば発注者をはじめ多くの下請業者に多大な被害が及ぶことになるからです。

 逆に言えば特定建設業許可の会社はそれだけ施工能力や財政面の基盤がしっかりしている企業だと言えます。

 ちなみに国土交通省発表の「建設業許可業者の現況」によりますと令和3年3月末現在における建設業許可業者数調査の結果については、建設業許可業者数は473,952 業者、このうち一般建設業許可を取得している業者は450,076 業者、特定建設業許可を取得している業者は47,055 業者でした。

国土交通省報道発表資料はこちら

※特定許可業者の割合は約10.5%で約10件に1件の割合です。

※一社で複数の許可を取得している建設会社があるので一般建設業許可業者数と特定許可業者数の合計は建設業許可業者数より多くなります。

 

一般建設業の工事1件当たり下請契約合計額の基準とは?

一般建設業許可の1件当たり下請契約額の基準について教えてください。

特定建設業許可ではない建設業許可業者は一般建設業許可業者になります。また同じ会社でも許可業種によっては特定建設業許可と一般建設業許可を分けているところもあります。

発注者【施主】から元請として直接請け負った建設工事を施工するために下請業者との請負契約額の合計が

4500万円(建築一式工事の元請の場合には7000万円)未満となる場合には、

その元請建設会社は一般建設業許可で工事を行うことができます。

一般的な住宅ですと元請契約額で2000万円~3000万円と聞いていますので住宅建築専業の建設会社は一般建設業許可で大丈夫なんですね。
もちろん特定建設業でも一般建設業でもOKですが、実はその住宅が「木造住宅で延べ面積150㎡未満」なら「軽微な建設工事」になりますので建設業許可のない業者でも工事を行う事ができるんです!

「軽微な建設工事」についてはこちらの記事で詳しく説明していますので参考になれば幸いです。⇒https://forester-fan-blog.com/?p=11772&preview=true

 

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建設業許可の条件!国土交通大臣許可か都道府県知事許可とは?

国土交通大臣許可と都道府県知事許可の区分について教えてください。

2つ以上の都道府県に「建設業の営業所」を申請する場合は国土交通大臣許可になります。

1つの都道府県内に「建設業の営業所」を申請する場合は都道府県知事許可になります。

建設業の営業所とは?常時建設工事の請負契約を締結する事務所の事!

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。

また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。

出典:建設業許可事務ガイドライン(平成13年4月3日国総建第97号 総合政策局建設業課長から地方整備局建政部長等あて)最終改正 平成25年4月17日国土建第13号

大臣許可と知事許可では工事を施工できる地域に制限があるという誤解!

建設業の営業所が他産業の営業所と違うのは建設業法上の条件が付加されているということになりますね。

また大臣許可と知事許可でよくある誤解は、大臣許可なら全国どこでも工事を施工することができるが、知事許可は知事の都道府県内でしか工事を施工してはいけないというものです。

正しくは大臣許可だろうと知事許可だろうと工事を施工できる地域に制限はありません。

大臣許可なら転勤があり知事許可なら転勤がないという誤解!

大臣許可は2つ以上の都道府県に建設業法上の営業所があり、知事許可は一つの都道府県内に建設業法上の営業所があるということがわかりました。それなら大臣許可の会社に入社すれば転勤があり、知事許可の会社に入社すれば転勤がないということでしょうか?
それは誤解ですね。

大臣許可であろうと知事許可であろうと全国どこでも施工を請け負うことができますので知事許可の建設会社で転勤の多い会社もあります。

転勤と大臣許可、知事許可を単純に結び付けて考えるわけにはいきません。

あなたが転勤することなく地元の街づくりに貢献していきたいなら事前によく調べておきましょう。

現在はインターネットを通じて調べ方については別の記事で詳しく説明しておりますので参考になれば幸いです。

 

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まとめ 建設業許可の3要素!業種!特定と一般!大臣と知事!

こちらのページでは建設業許可は、業種許可、特定か一般の許可、そして大臣か知事の許可という3つの要素で成立していることをまとめました。

最後までお読みくださり誠に有難うございました。